-凪の記憶-
-after dark-
人々が魑魅魍魎を恐れ、神にすがった闇の時代があったという。
人間らしさを取り戻したルネッサンスという名の夜明け、
幻想的な伴奏が聖歌隊とともに、その自由を賛美したことだろう。
金属の放つ鈍い光が厳格な守りの奥に眠っている。
鳴らないオルガンは今も、同じ思いでそこにいるのだろうか。
外を通りかかった車の低く重い音。一本のパイプだけ、共鳴したようだ。
窓から差し込む薄日がほのかに、色めいたの見ていた。
も一度、その響きを待ってみる。
わずかな震えが凪を呼び込む。
今は、何を讃えてくれるというのだろう。
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